|
マイ・バック・ページ─ある60年代の物語 川本三郎
この時代(学生運動とかデモとか)のことはよくわからないので、ノンフィクションといわれても フィクションのように思えてなりません。 後半部分(事件が起きてから逮捕、解雇へ)になると、グイグイひきこまれました。 この本は、雑誌「SWITCH」(1986年2月〜1987年12月)に発表されたものです。 --- 「一九六九年、私は週刊誌の記者になった。 まだ二十五歳だった」。 ベトナム戦争、バリケード、デモ、ストーンズ、CCR、そして 死者たち。あの時代が「私」をつき動かし、激動する東京と ある政治的事件に遭遇させる。長い沈黙を破って語りだされる 60年代へのレクイエム。 「Switch」連載中より注目を集めた、はげしさと痛みをともなって 時代の核心を描くノンフィクション・ノヴェル!
一九七二年一月、当時「朝日ジャーナル」の記者をしていた私は、前年夏に起きた 朝霞自衛官刺殺事件を取材することになり、その過程で起きた「証憑湮滅」の行為により 埼玉県警によって逮捕され、そして容疑事実を認めた段階で、朝日新聞社を馘首された。 二十七歳のときだった。 この出来事がその後、長く私の生活、文章表現、あるいは性格や人間に対する態度にまで、 重くのしかかることになった。映画のこと、文学のこと、あるいはマンガのこと、 さまざまな評論を書いても、最後のところで、七十二年の出来事が思い出されてしまい、 そこでいつも言葉がつかえつまずいてしまった。 (……)しかし、三年ほど前から、徐々に七十二年の出来事を距離を置いてみられるように なってきた。「私」と書いてもそれはあくまでも作品のなかの一登場人物であるにすぎないと クールに見られるようになってきた。いまなら書けるのではないかと思った。 自分が本当に再生するためには、想い出したくない出来事、 忘れてしまいたい人間たちのことを、正確に言葉にし、あるいはそれらに言葉を与え、 そうすることで出来事の重さからのがれなければならないと思った。(「あとがき」より) *1990年購入時の帯文より
マイ・バック・ページ―ある60年代の物語 川本三郎
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
|